中国の科学者が月探査機「嫦娥6号」が持ち帰った2グラムの月土壌サンプルを分析した結果、CI型炭素質コンドライト(隕石)の衝突による残留物を確認した。これまで月のサンプルで検出されていた正の酸素同位体比を示す水は、この種の隕石衝突による寄与である可能性が高いという。この研究成果は北京時間10月21日午前3時、国際学術誌『米国科学アカデミー紀要(PNAS)』に掲載された。
この研究は、中国科学院広州地球化学研究所の徐義剛院士らのチームによるもので、「嫦娥6号」の月土壌サンプル中にCI型隕石由来の衝突残留物を初めて特定した。研究者によると、これらの破片はCI型炭素質コンドライト母天体が月面に衝突した際に溶融し、急速に冷却・結晶化して形成されたものだという。今回の成果は、地球外サンプル中の隕石物質を識別するための体系的手法を確立した。
CI型炭素質コンドライトの母天体は、主に外太陽系に分布しており、水や有機物など生命に不可欠な物質を豊富に含む。研究者は、この発見が外太陽系の物質が内太陽系に移動しうることを示すだけでなく、月表面の水の起源を説明する上でも重要な意義を持つとしている。
研究者によると、これまで月のサンプルで検出されていた正の酸素同位体比を示す水が、このような隕石の衝突に由来する可能性が高い。今回の成果は、今後の月の水資源の分布や進化過程の研究に新たな方向性をもたらすとしているという。(編集YF)
「人民網日本語版」2025年10月23日