湖北省石首市北部の天鵝洲の湿地にあるシフゾウ国家級自然保護区で11月27日に開催されたシフゾウの中国再導入40周年記念イベントにおいて、中国のシフゾウ保護の重要拠点である石首シフゾウ国家級自然保護区では、シフゾウが64頭から4500頭以上に激増するという、世界の注目を集める動物保護の奇跡が起きていることを明らかにした。湖北日報が報じた。
また国際自然保護連合(IUCN)は、シフゾウの正式な英語名称を英語の「Pere David's Deer」から、中国語を音訳した「MiLu」に変更している。
角はシカ、蹄はウシ、顔はウマ、尾はロバに似ていることから「四不像」とも呼ばれるシフゾウは中国の固有種で、清代末期に中国では絶滅したものの、数十頭が、動乱に紛れて、欧州へ持ち去られ飼育されていた。
1985年、中国は英国とシフゾウを再導入するための取り組みを実施することで合意し、22頭が中国に帰って来た。そして、1991年、湖北省政府は、石首市北部の天鵝洲の湿地にシフゾウ自然保護区を設置することを認可。1993年から1994年にかけて、北京のシフゾウ64頭が同保護区へ相次いで移された。
石首シフゾウ国家級自然保護区のシフゾウは数十年の飼育を経て、64頭から4500頭以上にまで回復した。そのうち、野生復帰しているシフゾウは1600頭以上で、世界最大規模の活力のある野生のシフゾウの個体群を形成している。

11月27日早朝、シフゾウの群れとガンの群れがコラボする絶景が広がった石首市天鵝洲の長江故道(撮影・楊涛)。

11月26日、越冬するために飛来したハクチョウの群れが泳ぐ天鵝洲の長江故道で休む2頭のシフゾウ(撮影・楊涛)。
中国のあるシフゾウ研究者が以前、「Milu」という単語を使った論文を海外のジャーナルに寄稿したところ、審査の過程で、ジャーナルから「『Milu』の意味が分からない」と指摘された。そこで、同研究者が説明を行うと、ジャーナルはそれを快く受け入れ、「学術の連続性を維持するために、今後も『Milu』を使ってください」という返事が返ってきたという。

11月26日、石首シフゾウ国家級自然保護区で、のんびりと過ごすシフゾウとハクチョウ(撮影・楊涛)。
国連やIUCNといった国際組織、海外メディアは近年、「Milu」という英語名称をたびたび使うようになっている。例えば、10月24日、北京シフゾウ・生態保護国際フォーラムにおいて、IUCNのラザン・ハリーファ・アル・ムバラク会長は、ビデオ通話で挨拶した際、「『Milu』の再導入は、世界において最も成功した種の再導入で、そのモデルケースとなっている。IUCNは、それを『野生動物再導入の中国パラダイム』と評価している」と語った。また、英紙「タイムズ」は今年、「Miraculous milu(シフゾウの奇跡)」というタイトルの記事を掲載し、シフゾウが中国に帰り、個体数が劇的に回復するまでの過程を紹介した。


石首シフゾウ国家級自然保護区で、のんびりと過ごすシフゾウ(撮影・雷剛)。
北京シフゾウ生態実験センターの研究者・孟慶輝氏は、「『Milu』という英語名称に正式に変更されたことは、シフゾウが中国の固有種であることを強調している。これは、世界の中国の歴史に対する敬意であり、中国のシフゾウ保護の成果に対する評価でもある」との見方を示した。(編集KN)
「人民網日本語版」2025年12月3日