全国人民代表大会(全人代)代表で、北京市社会科学院法学所の研究員である馬一徳氏は26日、取材に対して、「中国の国情に適した外国主権免除法をできるだけ早く制定し、中国の国民と外国人投資家の合法的な権益を平等に守ると同時に、米国などが新型コロナウイルスをめぐって中国に対して発している悪意ある非難に、対等に対抗できるようにしなければならない」と提案した。新華社が報じた。
馬氏によると、国際交流やグローバル化がさらに深まっていくにつれて、国家が国際貿易活動に直接参加するケースが日に日に増えており、各国やその政府が、他の国で起訴されるというケースもますます増加している。しかし、中国は、立法というレベルにおいて、関連の専門の法律が今のところまだ制定されていない。外国やその財産は裁判権から絶対に免除されるという一般的な原則に従い、中国の当事者が中国国内の裁判所では他の国を相手に起訴し、権益を主張するというのは難しく、中国の裁判所が外国主権免除に関係する案件を処理する際の法的根拠もない。しかし、米国やカナダ、英国、欧州連合(EU)諸国などは、制限免除の原則を採用しており、外国とその財産は、訴訟において、絶対免除権を有しておらず、その行使職能に応じた扱いをするとしている。さらに、ほとんどの国は、外国やその財産を対象に国内で起訴する、または起訴されることを想定した専門の法律を制定している。
馬氏は、「制限免除の原則を採用するというのが、すでに国際的な立法の流れになっており、実際に、中国や地方政府が、米国などの国に起訴されるというケースが相次いでいる。立法に不足があり、中国の当事者が国内の司法機関を通して権益の保護を求めることができない。一方、中国政府は被告として、外国の裁判所で起訴されるケースが多発しており、中国の対外交流における実際のニーズが全く満たされていない。そのため、国際交流において、劣勢に立たされている」と指摘する。
そして、「この問題は、今回の新型コロナウイルスの感染拡大においてより際立つようになっており、早急に立法を整備するよう警鐘を鳴らしている。新型コロナウイルス感染が各国で相次いで爆発的に広がっており、米国を中心とする一部の国は、自国政府の防疫やコントロールの手落ちの責任を中国になすりつけ、『中国から広がった』や『中国は感染の真相を隠している』などを口実に、公然と中国に汚名を着せ、一部の国の団体や個人に至っては、米国の外国主権免除法を根拠に、中国政府や関連当局を相手に、訴訟を起こしている。これは、国家やその財産は免除されるという国際法の原則に違反しており、覇権主義や強権主義の表れだ。そして、中国が外国主権免除法を直ちに制定する必要性を際立たせている」との見方を示す。
さらに、「一帯一路(the Belt and Road)の協力、アジアインフラ投資銀行の成立、中国人民元のSDR(特別引出権)入りなど、歴史的ターニングポイントを次々に迎え、中国の経済環境は、さらに踏み込んだグローバル化を進めており、中国の主権免除をめぐる立法面の空白や不確定性が、外国の投資家にとっては、心配や困惑の原因となっている。このような新たな情勢において、主権免除をめぐる問題を見直し、絶対免除の原則から、国際的に主流の制限免除の原則に切り替え、早急に中国の国情に適した主権免除法を制定することを提案する」と述べた。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年5月27日