2月7日、張家口・雲頂スキー公園で行われた北京2022年冬季五輪男子スノーボードスロープスタイル決勝で演技を披露する中国の蘇翊鳴選手(撮影・肖芸九)。
北京冬季五輪の会場である雲頂スキー公園競技場には、「万里の長城」をモチーフにしたスロープスタイルコースが広がっている。コース横に設けられた長城の向こう側を選手たちが猛スピードで滑走していったり、鮮やかなジャンプを見せたりし、まるで武俠小説に出てくる武術の達人が風を切って走り去るかのようなシーンが次々に繰り広げられている。張家口ゾーンにある同競技場では7日、男子スノーボードスロープスタイルの決勝が行われ、「雪の万里の長城」をテーマにしたコースで、カナダのマックス・パロット選手や中国の蘇翊鳴選手らが、アグレッシブな技を披露し、「壁に飛び上がり、屋根の上を走る」といった武侠小説に出てくるシーンを現実のものにして、観客を沸かせた。
2月7日、張家口・雲頂スキー公園で行われた北京2022年冬季五輪男子スノーボードスロープスタイル決勝で演技を披露する米国のレドモンド・ジェラード選手(撮影・許暢)。
スロープスタイルは、冬季五輪の競技の中でも、見応えがある競技の一つ。長いコースには、複数のジャンプ台やレール、ボックスなどの障害物が設置され、選手は高速で滑りながら、トリックやジャンプを組み合わせて、クリエイティブなトリックを披露していく。雲頂スキー公園競技場の標高2042メートルの場所で、コース作りを行った中国と海外のチームは何度も造雪と圧雪を繰り返し、コースの形を整えて、長さ640メートル、幅30‐40メートル、傾斜度13‐18度の冬季五輪基準を満たしたスロープスタイルコースを作り上げた。唯一無二の「万里の長城」の要素やのろし台、望楼などをモチーフにした障害物が設置されたこのコースは、中国らしさ満載となっている。
コース作りを担当したチームのドイツ人スタッフは、「万里の長城」をモチーフにした理由について、「万里の長城は中国のシンボルの一つというのが、私を含めたドイツ人の印象。雲頂スキー公園競技場に作ったコースは、私たちが作って来た中で、一番素晴らしい作品になった。このコースは、北京冬季五輪の会場でしか見ることができない。『雪の万里の長城』には、スポーツの機能性と主催国である中国の伝統的な文化が融合されている。設計に中国の万里の長城を組み込んでその物語を数多くの観客に見てもらうというのはとても価値のあることだ。そしてこのコースで、選手らは自分の演技を通じて、世界に自分の物語を披露できる」と説明する。
雲頂スキー公園競技場の王世同・山地運営副経理は取材に対して、「万里の長城を細かなところまで丁寧に描き出すために、海外のチームは、万里の長城の写真をたくさん探して、参考にした」と紹介している。
雪で作り上げられた「万里の長城」は、美しく、壮大な景観となっているだけでなく、選手らが最高のパフォーマンスを披露できるようにも工夫されている。王氏によると、「丁寧に作り上げた『雪の万里の長城』は、冬季五輪と中国の要素を組み合わせており、各国の選手にとっては特別な体験となる。また、風を遮るという実用的な効果もある。スタート地点にある『長い壁』は強風を遮る。また、ジャンプ台の『万里の長城』の波型のラインも、さまざまなトリックの特徴に合わせて設計されており、選手がより素晴らしい演技を見せることができるよう工夫されている」という。
2月7日、張家口・雲頂スキー公園で行われた北京2022年冬季五輪男子スノーボードスロープスタイル決勝前に練習する中国の蘇翊鳴選手(撮影・費茂華)。
「雪の万里の長城」は、選手らの間でも高く評価されている。6日、予選で決勝進出一番乗りを果たした蘇翊鳴選手は、そのコースについて、「僕が滑ったことのあるコースで、一番いいコースだろう。ジャンプ台やレール、ボックスなどの障害物は全て角度がとても良く、安全な状況下で、難しいトリックに挑戦することができる」と高く評価した。蘇選手はその言葉通り、決勝戦でも、果敢に攻める演技を見せ、大技のバックサイドトリプルコーク1800(縦3回転、横5回転)などを決めた。
米国のジュリア・マリノ選手は、「こんな設計のコースを見るのは初めてで、大好き。ジャンプ台の設計も斬新で、難度が高い」と話した。
スノーボード女子スロープスタイルで優勝したニュージーランドのゾイ・サドフスキシノット選手は、「本当に驚嘆させられるコース。アイス・スノーアートである『雪の万里の長城』は、これまでに見たことのないコース」と語った。(編集KN)
「人民網日本語版」2022年2月9日