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15キロのリュック背負ってアルペンスキーコース滑る救急医療チームとは?

北京冬季五輪では連日白熱した競技が続いている。そんな冬季五輪の種目の中でも、アルペンスキーはスリルがあるアグレッシブな種目で、スピードとテクニックが求められ、雪山に作られた傾斜に並べられた旗門を正確に通過しながらゴールまでのタイムを競う。

同種目では急斜面を猛スピードで滑走するため、選手にとっては怪我の危険が付きまとう。そして、五輪開催に伴い、中国でもスキー専門の初代専門医療チームが誕生した。

アルペンスキーはどれくらい危険?

アルペンスキーの試合会場は非常に高い基準が求められ、延慶ゾーンの小海坨山にある国家アルペンスキーセンターには、中国で初めて五輪の基準を満たしたアルペンスキーコースがあり、中国でも最高ランクのコースとなっている。

アルペンスキーセンターには7コースあり、そのなかでも男子滑降のスタート地点は標高2198メートルの位置に設けられており、その垂直落差は約900メートル。地形は複雑に変化し、試合開催時には、公平な環境を提供するために、コース全体がアイスバーンに加工され、その難度は世界で3番目に高い。

アイスバーンでは、ちょっとしたミスも許されず、重心が少し偏っただけでも大転倒して大怪我する可能性さえある。最もよくある怪我は手足の骨折や脊椎骨折、靭帯断裂、頭蓋骨損傷、出血などで、深刻な場合には命の危険さえある。転倒したりした際の衝撃をできるだけ小さくするために、選手は試合中、ヘルメットをかぶり、プロテクターが組み込まれたレーシングスーツやスキーグローブを装着している。

スキー医師に求められるスキーのスキルとは?

選手の命を守るため、国際スキー連盟は、選手が自分を守るための備えをしっかりするほか、アルペンスキーの試合が行われる場合、訓練を受けた専門の医師がコース脇で待機し、選手が負傷した場合4分以内に駆け付け、15分以内にコースから運び出し、20分以内に医療ステーションへ運ぶことができる体制を整えておかなければならないと規定している。

この規定を受け、中国では2018年にスキー専門の初代専門医療チームが誕生した。「専門医療チーム」は、北京の各三甲病院(中国で最高ランクの病院)の臨床経験のある整形外科、麻酔科、救急科、神経外科、胸部外科といった関連の専門医師で構成されている。それらの医師は、心肺蘇生や気管挿管、止血、骨折した部位の固定といった救急スキルを身につけていなければならないほか、重さ15キロの救急リュックを背負って、アイスバーンの傾斜を滑ることのできる、スキーのスキルも求められる。

「コースの安全を守るために自分にできる限りのことを」

張家口ゾーンにある雲頂スキー公園競技場では、北京冬季五輪専門医療チーム・雲頂隊の李亜州隊長と他のメンバーがコースの医療救助を担当している。李隊長は取材に対して、「本番の試合で、医師はコース脇のさまざまな位置に配置され、緊急時に随時対応できるよう待機している。テストマッチの時から、ほぼ毎日、救助の必要な選手がいる」と話す。

数日前にも事故があったといい、「当時、女性選手が頭部を負傷し、舌下垂と呼吸困難の症状が見られた。呼吸ができない状態がもし3分以上続くと、脳に不可逆的な損傷を受けることになる。しかし、医師4人が協力して治療した結果、選手はすぐに意識を取り戻した」と振り返る。

救助に向かう際、スキー医師は10キロ以上のリュックを背負って雪の斜面を滑らなければならない。そして、コブやハーフパイプ、スロープスタイル、ビッグエアなど、選手が負傷する可能性のある全ての場所に、4分以内に駆け付ける技術を備えていなければならない。

李隊長は、「中国の初代専門医療チームのメンバーとして、コースの安全を守るために自分にできる限りのことをしたい。そして、北京冬季五輪がスムーズに開催され、素晴らしい大会になることを何よりも願っている」と語った。(編集KN)

「人民網日本語版」2022年2月16日