FASTが探査した有名なコンパクト銀河群「ステファンの五つ子銀河」の周辺の原子ガスの分布。(画像提供は国家天文台)
中国科学院によると、中国科学院国家天文台の徐聡研究員が率いる国際チームは「中国天眼」と呼ばれる中国の500メートル球面電波望遠鏡FASTを利用し、有名なコンパクト銀河群「ステファンの五つ子銀河」及びその周辺の水素原子ガスのイメージング観測を行った。スケールが我々がいる銀河系の20倍にのぼる約200万光年の巨大原子ガスシステムを発見した。これは現在まで宇宙で観測されているうち最大の原子ガスシステムだ。同成果は北京時間10月19日に国際的な学術誌「ネイチャー」に掲載された。人民網が伝えた。
宇宙のすべての天体の起源は原子ガスと切り離せない。FASTは現在、世界で口径が最大で感度が最高の単一口径電波望遠鏡で、遠く離れた銀河系中心の極めて薄く広がる原子ガスが放出する弱い放射線を探査できる。
FASTのこの最新の発見により、同銀河群から遠く離れた周囲に大スケール・低密度の原子ガス構造が存在することが明らかになった。これらのガス構造の形成は「ステファンの五つ子銀河」の早期形成時の、銀河系間の相互作用の歴史と関連する可能性が高く、すでにおよそ10億年存在している。同発見は銀河系及びそのガスの宇宙における変化の研究に課題を突きつけた。既存の理論では、これほど長い期間にわたりこうした稀薄なガスが、宇宙空間の紫外線背景輻射によりイオン化されなかったことを説明できないからだ。FASTのこの観測成果は、宇宙にこのような大スケール・低密度の原子ガス構造がさらに存在する可能性を示している。(編集YF)
「人民網日本語版」2022年10月20日