中国農業農村部(省)が2月28日に発表した2022年の長江スナメリ科学考察結果によると、長江スナメリの個体数が1249頭まで回復した。内訳は長江の本流が約595頭、鄱陽湖が約492頭、洞庭湖が約162頭となっている。5年前の2017年の1012頭と比べると、23.42%増となり、年間平均4.3%のペースで回復したことになる。スナメリの個体数の減少に歯止めがかかり、増加へと転じる歴史的転換点を迎えている。
とても活発的な性格であることで知られる長江スナメリは、現時点で長江に唯一生息している水生哺乳類。長江に約5万年にわたり生息しており、その生態系におけるフラッグシップ種、指標種となっている。
ただ、ここ40年、長江スナメリの個体数は激減していた。1990年代初め、長江に約3600頭いたスナメリは、2006年には約1800頭まで半減し、2012年には約1045頭にまで減少した。2017年の科学考察統計によると、わずか約1012頭だった。
中国は長年、「生息域内保全、生息域外保全、人工繁殖」の三大保護対策を堅持し、2021年からは、長江スナメリを国家一級重点保護野生動物に指定。それらが功を奏し、長江スナメリの個体数が少しずつ回復し始めた。
農業農村部・長江流域漁政監督管理弁公室の馬毅室長は記者会見で、「2022年は、長江全域で実施されている10年間の禁漁の2年目だった。各種保護対策が調和よく推進されており、長江の水生生物資源が良い方向に向かって回復している。水生生物多様性が向上しつつある」としながらも、「長江流域の水生生物多様性は全体的に見ると低く、絶滅危惧種は非常に厳しい状況。外来種の種類も多く、水系の連結性や水生生物の生態環境状況が悪いという現状が根本的に改善されていない。そのため、10年間の禁漁を確固とした姿勢で続け、系統的な保護を統一して展開しなければならない」との方針を示した。(編集KN)
「人民網日本語版」2023年3月1日