1992年に遼寧省丹東市で生まれたカメラマン・楊東さんは2015年9月ごろからこれまで約8年の間、「万里の長城」の写真を撮り続けている。これまでに、「万里の長城」の150ヶ所以上で撮影した写真の数は50-60万枚、動画は100TB近くに達している。写真や動画の撮影のために、楊さんはこれまで中国の東北エリアから、新疆維吾爾(ウイグル)自治区まで、約15万キロを移動してきた。
「『万里の長城』の写真撮影は、待っている時間がほとんど。花の咲く春は、撮影の絶好のチャンス。でも強風が吹くと、花が一夜のうちに散ってしまい、また1年待たなければならない。夏には、雲海を撮影するために、何度も通わなければならない。雨が降った後に、20-30回は行かなければ、雲海を撮影することはできない」と楊さん。
そして、「ここ数年、万里の長城の生態環境がどんどん良くなってきており、一面に咲く花や雲海を撮影する過程で、野生のウサギやシベリアノロジカ、リス、時にはイノシシまでも見かけるようになった」と話す。
古代の戦場にタイムスリップしたかのような写真「大国戦号」
楊さんが撮影してきた数々の写真の中でも、最もお気に入りの写真は「大国戦号」という作品。「撮影当時、『金山嶺長城』をかなりの時間歩き回ったが、ちょうどいい撮影ポイントが見つからず、石段に座って休んでいた時に、突然、雲がもくもくと沸き立ってきた。それで、雲と烽火台がコラボレーションした瞬間、まるで烽火台から煙がもくもくと上がっているように見え、古代の戦場にタイムスリップしたようなシーンが撮影できるのではと思いついた。それで、万里の長城に沿って走り撮影ポイントを探した。そうして、この『大国戦号』という作品が生まれた」としている。
楊東さんの作品「大国戦号」
「万里の長城は一生かけても撮り終わらない」
数年前、ある人に「30万枚以上も万里の長城の写真を撮影したのに、まだ撮り足りないの?」と言われたことがあるという。しかし楊さんは、「知れば知るほど、自分の知識が少ないことに気付く」と話す。
そして、「万里の長城を建設した人々が文字を刻んだレンガで築かれた灰色の壁が、美しい夕日に照らされて黄金色に輝くと、万里の長城が蘇ったように見える。壁はひんやりと冷たいわけではなく、ぬくもりがある」としている。
また写真仲間たちに、「万里の長城はもう撮り終えただろう?」と聞かれると、楊さんは、「万里の長城は、一生かけても撮り終わらない。もし、生涯一つのことをやり続けることができれば、それはとても幸せなことだと思う」と答えているのだという。(編集KN)
「人民網日本語版」2023年4月7日