「一帯一路」ニュースネットワーク

「一帯一路」ニュースネットワーク>>ニュースルーム

【中国キーワード】「小店経済」が再び盛んに 経済発展を牽引する「毛細血管」に

丸わかり!中国キーワード

16:46, May 23, 2023 人民網日本語版

中国の文化観光経済が回復するにつれ、小規模店舗による「小店経済」が力強い回復ぶりを示している。今年第1四半期(1-3月)には、上海市で新規オープンした特色ある小店は3万店を超えた。福建省福州市では美団プラットフォームに小店が1万店近く増加し、取扱商品は700種類に迫った。

このような活気溢れる小店が映し出しているのは、都市消費の原動力だ。そしてデジタル化のサポートによる新モデルが「小店経済」を再燃させ、地方の発展にも新たな原動力を注入している。

第1四半期の小店経済

美団のデータによると、今年第1四半期に、上海市で新規オープンした特色ある小店は3万店を超えた。今年3月には、上海で美団アプリに新規オープンした小店の前月比成長率は43%に達し、小店のオンライン受注量は前月比25%増加した。1-3月には、上海地区のレジャー・娯楽での受注量成長率上位5位に、ドライブインシアター、エレクトロニック・スポーツ(eスポーツ)、バー、ゲームセンター、茶館が並んだ。そのうち文化芸術イベントでの受注量は前年同期比で44%増加し、若者に人気があるライブハウスでの受注量は同140%増加した。また茶館のような「スロー消費」の新業態の小店が500店近く増加した。

また四川省成都市で1-3月に新たにオープンした小店は3万店を超えた。そして福建省福州市では美団プラットフォームに小店1万店近くが増加しただけでなく、取扱商品は700種類に迫った。

わずか10平方メートルほどの広さの手品クラブから地下3階まであるロッククライミング館、ラテやお茶を使ったビールを研究開発するお茶バーまで、こうした小店は正確な顧客マーケティングと細分化された消費シーン、クリエイティビティあふれる消費業態によって、さまざまな年齢層の、多様な嗜好とニーズを持った消費者を引きつけ、品質や体験、個性などの多様化したニーズに応えている。

政策による支援が小店経済の後ろ盾に

小店経済の勢いある発展は、政策による支援と切り離せない。

今年3月23日、上海市は「上海市の消費のさらなる促進・拡大に関する若干の措置」を打ち出し、「通年の消費イベント」、「4大経済」、「4大消費」、「商業空間の質向上」、「消費市場環境の最適化」の5つの面に重点を置き、市場の期待と信頼感を大きく向上させ、成長を安定させ、消費を促進することに力を入れて、15項目の措置を打ち出した。

江蘇省南京市は「小店経済」の健全な発展をさらに推進するため、2022年12月に「小店計画」を打ち出し、「流れの引き寄せと力の集中、デジタルによる高度化、コスト削減と効率向上、市民に便利なサービス、モデル運営とリーディング」の5大行動を実施し、これまでに都市の小店10万店以上がこの恩恵を被っている。

広西壮(チワン)族自治区政府弁公庁はこのほど措置を発表して、「フレキシブルな監督管理」サービスによる露天・小店の発展支援をどのように実施するかについて、より詳細な規定を打ち出した。その目的は「ハードルを引き下げ、活力をかき立て」、「小店経済」の安定的な発展を後押しすることにある。

デジタル小店がトレンドに

5Gやインターネット、ビッグデータ、クラウドコンピューティングを始めとする現代の情報技術などを活用し、都市の小店のスマート化改造、デジタルトランスフォーメーション・高度化を推進し、オンラインとオフラインが連携した経営を実現するのが今の主流だ。

シルクのワンピースを着た包包さんがライブ配信カメラの前で、視聴者に向けて服の素材やコーディネートについて慣れた様子で説明していた。包包さんの浙江省杭州市にあるシルク店は正真正銘の「デジタル小店」で、微信(WeChat)のグループ、ミニプログラム、動画アカウントのライブ配信などのデジタル化した手段を通じて、店の売り上げをかなり伸ばすことに成功した。包包さんの店は、スマートフォンの画面を通じてますます多くの人に知られるようになった。

90後(1990年代生まれ)の妮露さんは故郷の安徽省合肥市にあるベーカリーブランドで、企業微信(WeChat Work)アカウントグループにおけるカスタマー業務を担当している。カスタマーグループはある意味で彼女の「デジタル小店」になっている。妮露さんはグループに向けて商品の原料リストを公開し、商品の成分を詳しく説明し、顧客の誕生日の3日前には、お祝いのメッセージとケーキのクーポン券を送るようにしている。

国家市場監督管理総局のまとめた統計によれば、2023年1月末現在、中国のマーケットエンティティは1億7千万に達し、そのうち全国で登録されている個人事業者は1億1400万人を数え、3億人近くの雇用を生み出した。

包包さんと妮露さんのデジタル化した小店は中国の1億を超える小店の発展のリアルな姿を反映している。さまざまなスタイルの小店の店舗は、人々の暮らしに便利さをもたらす一方で、多くの雇用にもつながり、勢いよく上昇し続ける小店のパワーが、経済に新たな原動力を注入している。

ますます多くの小店が新しいツールを利用

技術の発展にともなって、多くの小店オーナーの間では新しいツールを利用することが共通認識となっている。そのうちの1人の肖剣雄さんは10数年前から飲料品の小店ビジネスを手がけている。「かつては、うちのお客さんは主にオフラインで近所にいる人が中心だったが、今は少なくとも半分がオンラインになっている。SNSプラットフォームが消費者により多くの選択肢を提供すると、事業者はつねにイノベーションしなければならなくなり、市場に出回る商品はますます増えていく。もうけたいなら、ユーザーの心をがっちりつかまなければならない」と肖さん。

小店の営業の範囲には限界があり、オンラインへのモデル転換が急務となっている。ローストダックの小店を経営する李林峰さんは、「ただデリバリープラットフォームはルールが複雑で、新しいやり方も多く、自分たちには経験がなくて、写真を撮ったり、画像を作成したり、キャッチコピーを書いたりすることがうまくできないので、デリバリー店舗の注文数は微々たるものだった。ある日、デリバリープラットフォームにある『運営代行』機能のボタンをたまたまクリックしてページを開いたところ、すぐにプラットフォームから電話がかかってきて、ニーズのすりあわせをした後、飲食店のデジタル化運営を専門に扱うネットワークテクノロジー企業を紹介してもらった」と述べた。

そのテクノロジー企業の社員の鄧帆さんはデリバリーソフトウェアのバックグランドで同店の約1ヶ月間の受注量、客単価、アクセス率、注文率などのデータを調査し、同店の詳細を把握した。鄧さんのアドバイスを受けて、李さんは商品構成を調整し始め、それから数日でデリバリー店舗は生まれ変わった。さらに2週間で注文量は2倍になり、李さんは大きな喜びと驚きを感じたという。

鄧さんは、「この効果は大量のデータに対する正確な分析のたまものだ。データを通じて、私たちは消費者のプロフィールを描くことで、消費者の購入傾向を判断できるようになった。1つ1つの手をどのように打つか、その全てに根拠がある」と説明した。(人民網日本語版論説員)

>>>丸わかり!中国キーワード

「人民網日本語版」2023年5月23日