国際原子力機関(IAEA)の発表した日本の福島原発汚染水の処分に関する包括報告書を、日本政府は原発汚染水海洋放出の「護符」にしようとしている。だが、この報告書はレビューに参加した全ての専門家の意見を十分に反映したものではなく、その結論は専門家の一致した同意を得ておらず、日本側の求める海洋放出の正当性と合法性を与えるものではない。結局、日本側のこの企ては徒労に終わるだろう。(人民日報「鐘声」国際論評)
報告書は海洋放出の正当性を証明していない。2年前、日本はIAEAに海洋放出計画のレビューを求めたが、より安全で優れた他の処分案を当初から除外していた。IAEAも日本側の示した海洋放出計画についてのみレビューを行った。報告書は、海洋放出の正当性の証明は日本側の責任であり、これは多くのステークホルダーについて極めて重要だと明確に指摘した。また、IAEAは日本側に海洋放出計画の採用を提言していないし、海洋放出計画にお墨付きを与えてもいないとした。
報告書は福島原発汚染水の海洋放出が安全無害であると保証することはできない。海洋放出は30年間、さらにはそれよりも長い期間続くのに、浄化装置の長期運転の信頼性をどう証明するのか?東京電力には原発汚染水に関するデータの隠蔽・改竄を繰り返した前科がある。その東京電力が提供したデータや情報に基づくIAEAのレビューで、どうやって国際社会を安心させるのか?IAEA報告書は、安全性に関する結論は日本側の定めた計画に基づくものであると指摘し、また日本側の海洋放出を長期的に監視する制度を構築するとした。これはまさに、海洋放出の長期的リスクを証明するものだ。
報告書は日本側の道義的責任や国際法上の義務の免除にもならない。日本による原発汚染水の海洋放出は、国連海洋法条約など国際法の定める海洋環境の保護・保全義務に違反し、ロンドン条約(1972年)の放射性廃棄物の海洋投棄禁止規定に違反する疑いがある。日本側がどう取り繕うとも、国際的義務に違反する疑いがあるという事実を変えることはできない。
日本側は、IAEA報告書によって原発汚染水の海洋放出を問題視する外部の声を静めることはできず、ましてや報告書が海洋放出の強引な推進への「護符」となることはあり得ないということを、はっきりと認識するべきだ。日本側は国際的な道義的責任と国際法上の義務を忠実に履行し、海洋放出計画の強引な推進を止め、海洋放出以外の処分案を十分に研究・論証し、近隣国などステークホルダーと十分に協議して、しっかりと科学的で安全かつ透明性ある方法で原発汚染水を処分するべきだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2023年7月6日