遺伝資源展示エリア。撮影・謝芸観
山東省寿光市の色とは何か?寿光野菜タウンの製品展示エリアに入れば、その答えは「色とりどり」となるかもしれない。展示エリアで、温室で育った各種果物・野菜がカウンターに整然と並べられており、トマトだけでも十数種にも達する。これらの製品には農業の画期的な技術がぎっしり詰まっている。中国新聞網が伝えた。
「この水・肥料一体化管理設備のように、窒素・リン・カリウムなどの微量元素の正確な配合を行い、水と肥料を節約できる」。寿光市野菜産業発展センターの張林林副センター長は温室内で、設備の使用方法を説明した。
張氏によると、寿光の野菜拠点ではいずれもこの設備が導入されている。温室内の野菜もココピートを使用した水耕栽培によるものだ。野菜の根の成長に適しているだけでなく、病虫害を効果的に減らすこともできる。
これらの画期的な技術を導入できたのは、寿光が近年にわたりデジタル農業を足がかりに、水・肥料一体化、スマート送風機、モノのインターネット(IoT)など複数のスマート化施設・設備の推進・拡大に取り組み、パーク内でスマート化されたIoT設備をフルカバーしたためだ。張氏は、「寿光のIoT応用率は現在80%以上に達しており、労働生産性が倍に上がったことにより、農家の所得増をさらに牽引した」と述べた。
寿光野菜種業集団の副総経理兼研究開発センター長の程琳氏は、「樟小白」と呼ばれるトマトの種が入った袋を持ち上げ、「この袋の種は計1000粒で、1袋700元(1元は約19.9円)だ。1ケース500袋で計算すると価値は約35万元だ」と説明した。これは1ケースの種で高級車1台を買える計算になる。
種をこれほど高く売れるのは、「野菜の里」の「種子プロジェクト研究開発行動」によるものだ。データによると、寿光が独自に研究開発し植物新品種権保護を獲得した野菜は178種で、種苗の年間栽培能力は18億本と全省の4分の1を占めている。寿光市野菜産業控股集団の執行董事で総経理の丁俊洋氏は、「今やトマト、キュウリ、トウガラシという3大野菜の全品種の国産化を実現している」と述べた。
種は農業の「半導体」で、遺伝資源は種子業発展の鍵だ。程氏は、「既存の山東省野菜遺伝資源バンクでは遺伝資源を20万点保存できる。現在すでにキュウリ、トマト、トウガラシなどの遺伝資源を2万5000点余り保存しており、山東省最大の野菜遺伝資源バンクとなっている。これは品種改良や、生産量が多く良質で抵抗力の強い新品種の育成に対して重要な意義がある」と述べた。
寿光は今後、国家級野菜種子業イノベーション拠点の建設をめぐり、重点種子リーディングカンパニーの育成を中核に、産業を主導に、企業を主体に、拠点をよりどころに、産学研(産業、大学、研究機関)を結び合わせ、育成・繁殖・推進一体化の野菜種子産業体制を構築する。2025年に独自研究開発の野菜品種を300種以上に、ブレイクスルー的な品種を10種以上にし、全国の野菜種子業の新たな先進地にする計画だ。(編集YF)
「人民網日本語版」2023年8月2日