中国の「ソーシャルメディアプラットホーム」小紅書で知り合った人同士がそれぞれの生まれ故郷の特産品を送り合うというのが最近、ネットユーザーの間で新しい交流スタイルとして人気を集めている。
山東省の男性から郵送されてきた段ボール箱を開ける動画が話題になり、ネットユーザーたちから羨望の眼差しを集めた。動画を見ると、200元(1元は約20円)分の特産品を交換するという約束だったものの、その男性から郵送されてきた箱には中国風のパン「焼餅」やウズラの卵、中医薬の「胖大海」、ナツメをミルク飴で包んだ「奶棗」、中医薬の阿膠で作られた「阿膠固元膏」など、約100種類のお菓子などが合わせて17.5キロも詰められていたからだ。
「特産品の交換」に多くの人が面白みを感じ、多くの地域のご当地グルメにも注目が集まるようになっている。
あるネットユーザーは、「相手から郵送されてきた箱を開けるときは、まるでブラインドボックスを開けるような気分」というコメントを寄せている。
ただ、「特産品の交換」がネット上で人気を集めていることに、「理解できない」と感じている人も多いようだ。オンラインショッピングがとても便利な今、ほとんどの人気都市の特産品をECプラットホームで購入することができるため、若者たちがなぜ原始的ともいえる「物々交換」に夢中になるのか理解できないのだろう。
江蘇省や安徽省、河南省、内蒙古(内モンゴル)自治区に住んでいるネットユーザーと特産品を交換したことがある「不負卿*@」というハンドルネームの女性ネットユーザーは、「行ったことはないが、どんな所なのか知りたい都市も多い。特産品は一つの都市の代名詞。それを交換することで、現地の人のお墨付きの特産品を知り、南方エリアと北方エリアの違いを感じることもできる。特産品の交換は、ひと味違う旅行のようなもので、ブラインドボックスを開ける時のようなワクワク感を体験できる」と話す。
取材では、「特産品の交換」ブームにおいて、多くのネットユーザーが進んで生まれ故郷の「PR大使」を務めようとしていることが分かった。例えば、「私の生まれ故郷にも自慢の特産品がある」という書き込みが大きな話題となっており、ブロガーは、藕粉や桃花酥、定勝糕、麻薯、龍井酥といった、杭州の特産品を紹介し、多くのネットユーザーが争うように「いいね!」を押している。別のネットユーザーは、画像や動画を通して、生まれ故郷での生活の様子を紹介し、その魅力を伝えている。
会ったこともない相手と信頼し合った結果として「特産品の交換」が終わると、心温まる思いを感じることができ、両者の間に「絆」のようなものが生まれていることは注目に値する。「不負卿*@」さんは取材に対して、「南京に住む相手から郵送された特産品を受け取り、ずっしりと重い箱と、見知らぬネットユーザーの気持ちに一番感動した。特産品そのものより、その気持ちのほうに、うれしさを感じた」としている。
ネットユーザーの書き込みを見ると、相手から郵送されてきた箱に、気持ちのこもった直筆の手紙や幸福を祈るブレスレット、匂い袋なども入っていたというケースもたくさんあるようだ。目新しい体験に加えて、心も満たしてくれる「特産品の交換」の人気はこのあたりにあるのだろう。(編集KN)
「人民網日本語版」2023年8月30日