中国人民大学経済学院などが主催する中国マクロ経済フォーラム(CMF)はこのほど、年次フォーラムを開催し、2023-2024年度報告書を発表した。報告書は、今年の中国経済は弱い回復基調にあり、来年は経済成長率がさらに戻り、需給はさらに均衡へと向かうと分析した。
■波のようなジグザグの景気回復
中国人民大学経済学院副院長で、CMFの主要メンバーである于沢教授は、CMFを代表して報告書を発表した。報告書は、今年の景気動向について「弱い回復」と評価。この「弱い回復」は、パンデミック後の急上昇という一部機関の予測とはかなり大きく異なる。于教授によると、全体的に見て、これはマクロ経済運営を下支えする3つの力の作用によるものだ。3つの力とは、(1)新型コロナ感染症後の生産・生活秩序の全面的回復がもたらした景気回復。(2)秩序回復の過程における内生的市場需要。ただし、この需要はまだ余り強いとは言えない。(3)新たな発展構造の実現が加速した後の、質の高い発展の着実な推進だ。
報告書によると、この3つの力が作用する中、今年の景気回復は4つの特徴を示した。 (1)波のようなジグザグの回復。例えば春節(旧正月、今年は1月22日)や夏休みといった特別な時期は、第1四半期(1-3月)や第3四半期(7-9月)における消費の比較的大きな伸びを後押ししたが、他の時期は全体的なパフォーマンスが比較的弱かった。(2)今年の景気回復は従来型の景気回復とは異なる現象が多かった。例えば、交通移動統計は経済成長率に沿ったものではなく、交通関連データの成長率は経済成長率を遥かに上回った。(3)景気回復に分化が見られた。大型インフラ整備が進められる中、建設業の成長率は工業の成長率を上回った。新エネルギーや設備製造業の成長率は高いが、従来型産業の回復は比較的緩慢だった。(4)景気回復はマクロのパフォーマンスとミクロの感覚のギャップが大きく、特に川下の民間経済は景気回復を強く感じられなかった。
報告書は来年の中国経済について、成長率がさらに戻り、需給がさらに均衡へと向かい、この過程において物価が緩やかに上昇するとの見通しを示した。(編集NA)
「人民網日本語版」2023年11月28日