人民網の取材に応じた「ゴールド・ボーイ」の金子修介監督(写真右から2番目)、企画を担当した許曄氏(写真一番右)、製作総指揮を担当した白金氏(写真一番左、撮影・許可)。
作家・紫金陳の小説「悪童たち(原題・坏小孩)」を原作とし、中国で大ヒットしたネットドラマ「隠秘的角落(The Bad Kids)」。その原作を日本で映画化した「ゴールド・ボーイ」は、先ごろ開催された第36回東京国際映画祭のガラ・セレクション部門でプレミア上映された。俳優の岡田将生や羽村仁成、子役の星乃あんな、前出燿志など、豪華な出演キャストとなっているほか、黒木華や江口洋介、松井玲奈、北村一輝といった実力派俳優や女優も出演している。「ゴールデン・ボーイ」が日本で製作されたことで、どんな科学反応が起きたのだろうか?「ゴールド・ボーイ」の制作陣である金子修介監督や企画を担当した許曄氏、製作総指揮を担当した白金氏が取材に応じ、その見どころや、日本に進出する上で中国IPにはどのような優位性を備えているのかなどについて語った。人民網が報じた。
白金氏は、「『悪童たち』の映画化は、偶然であり、必然でもある」としている。白金氏が最高経営責任者(CEO)を務めるチームジョイ株式会社は2020年に、中国のアニメーション映画「羅小黒戦記・ぼくが選ぶ未来(原題・羅小黒戦記)」を日本で配給し、興行収入は5億6000万円に達し、中国アニメーション映画の海外興行収入最高記録を塗り替えた。その後、同社は「白蛇・縁起」や「ナタ転生(原題・新神榜:哪吒重生)」、「唐人街探偵 NEW YORK MISSION(原題・唐人街探案2)」といった中国映画を次々と配給し、どれも大成功を収めた。白金氏は、「中国文化を海外に発信するルートを常に探している。中国共産党第20回全国代表大会の精神を学び、それを徹底して実行し、現地の人々が受け入れやすいスタイルで中国の物語を発信したい。そのため、中国の素晴らしい作品を日本で上映すると同時に、ローカライズにもチャレンジしている。『ゴールド・ボーイ』はその代表だ」とする。
そして、「原作は現実主義に基づいた二次的著作物だ。事件の背後には、インターネットが発展していることを背景に、世代間コミュニケーションがうまくいかないという問題が隠されている。それは各国共通の問題で、私たちの足掛かりでもある。日本は、本格ミステリーの発祥地で、しっかりとした市場の基礎がある。中国のミステリーIPを糸口にすれば、日本の人々にも受け入れてもらいやすい」との見方を示す。
リメイク作品である「ゴールド・ボーイ」と原作ドラマの「隠秘的角落」との相違点に人々の注目が集まっているが、その点について白金氏は、「中国ドラマ版の物語は小さな街を舞台に展開されるほか、貧富の格差が背景にあるなど、中国の特色があふれる形で原作を再現している。一方、日本映画版は、東昇と朝陽という天才2人の知恵と力を戦わせることに的を絞ったストーリーとなっていて、それをさらに踏み込んで多領域エンターテインメント化している。『ゴールド・ボーイ』というタイトルになったのは、『天才少年』というのは光り輝いているものの、足りない部分もあるからで、タイトルにはそんな風刺的な意味も含まれている」としている。
また、「中国IPの日本市場進出は、先天的なメリットがあると言える。例えば、中日両国の文化は相通じるところがあり、交流や相互参考において悠久の歴史がある。日本の人々は、欧州の映画に登場する公爵と伯爵の違いはよく分からなくても、『大奥』や『宮廷の諍い女(原題・後宮甄嬛伝)』の物語は受け入れやすい。それは両国の文化の遺伝子は似通っているからだ」とする。また、インターネットが日に日に発達し、日本に進出する中国の優秀作品、中国に進出する日本の優秀作品が増えるにつれて、「原神」や「非人哉(ひとにあらざるかな)」、「ミニ豆ちゃん(原題・請吃紅小豆吧!)」といった中国の優秀なゲームやアニメに触れる日本の若者が増加し、一方の中国では「ウルトラマン」や「名探偵コナン」といった大ヒットアニメが広く知られるようになり、中日の文化の分野の交流が密接になり、中国IPの日本における受容性が日に日に高まっている。
現実主義のサスペンスドラマのリメイク作品製作は、「デスノート」やガメラシリーズなど映画のメガホンを取って来た金子監督にとって、大きなチャレンジとなった。金子監督は、「監督になって40年以上となるが、初めて触れる世界となった。見る人に、自分が表現したかったことが伝わることを願っている。両国の社会的背景や人間関係、家庭の状況などは大きく異なる。特に、中国の経済は近年急速に発展し、競争がし烈になっており、こうした背景で生まれた作品は日本の社会にも大きな衝撃を与えるだろう。『ゴールド・ボーイ』では、ドラマ版では登場しなかった原作の内容が再現されている。それを見て、見る人が原作に対する理解を深めることを願っている」とした。
「ゴールド・ボーイ」は2024年の春に日本で公開されることになっている。(編集KN)
「人民網日本語版」2023年12月27日