4月23日に29回目となる「世界本の日(世界図書・著作権デー)」を迎えるに当たり、環球時報研究院と電子書籍サービス大手・閲文集団が共同で発表した「Z世代デジタル読書報告」(以下、「報告」)は、地域の分布や読書スタイル・好みのコンテンツといった角度から、Z世代のデジタル読書の現状を描き出し、2023年のZ世代のデジタル読書をめぐる新たな動向に迫っている。
中国新聞出版研究院が発表した第20回全国国民読書調査結果によると、2022年、中国の成人のデジタル化された読書スタイル(インターネット、スマートフォン、電子書籍リーダー、タブレットPCなどによる読書)の接触率は80.1%と、前年比で0.5ポイント上昇した。成人の平均年間読書本数は紙媒体の書籍が4.78冊、電子書籍が3.33冊となっており、デジタル化された読書スタイルが、日に日に存在感を強めていることが分かる。
報告のグラフ(写真提供・主催機関)。
閲文集団のデータによると、Z世代ユーザーは年間平均28作品の書籍を読んでおり、読書の時間は1日平均83分だった。時間帯を見ると、夜11時と夜10時、正午12時が最も多かった。地域別で見ると、読書が好きなZ世代が最も多い省トップ5は広東省や江蘇省、浙江省、河南省、山東省となっていた。
では若者はどんな本を好んで読んでいるのだろうか?「報告」によると、Z世代の間で最も人気の書籍のジャンルトップ5は、青春文学、文学、歴史、心理学、哲学となっていた。具体的に見ると、Z世代に最も人気の作品トップ5は、「十四年猟詭人」、「竜王:世界的重啓」、「三体(Three-Body Problem)」、「孫子の兵法」、「嫌われる勇気 自己啓発の源流『アドラー』の教え」となっていた。
報告のグラフ(写真提供・主催機関)。
また、映画やドラマなどが爆発的人気となって、原作小説や関連書籍なども大人気になるという相乗効果がより際立つようになっていることは注目に値する。例えば、2023年、「三体」や「流浪地球(流転の地球)2」が大ヒットしたのを背景に、閲文のプラットフォームを通じて、SF作家・劉慈欣の作品を読むZ世代の読者が63%増加した。また、ドラマ「狂飆(The Knockout)」が大ヒットしたのを背景に、登場する高啓強の愛読書「孫子の兵法」が、Z世代の間で人気となり、国学の名作でトップとなった。オンライン読書アプリ「QQ閲読」だけでも累計で約90万人が各バージョンの「孫子の兵法」をライブラリに入れた。その他、「長相思(Lost You Forever)」や「繁花(Blossom Shanghai)」といったドラマが大ヒットとなり、その原作小説の読書量が前月比でそれぞれ24倍と61倍となり、激増した。
「報告」によると、2023年、Z世代から各種文学作品に寄せられたコメントは合わせて1億8900万件で、字数は計40億8000万字。「論語」25万冊に相当する。コメントのキーワードを見ると、多くがホットな話題に関係しており、例えば、「AI」は33万6000回、「学習」は26万8000回となっている。
ジャンル別で見ると、2023年、Z世代の間で最も話題となった文学の名著ジャンルは「紅楼夢」で、社会・科学ジャンルは「陰騭録(了凡四訓)」、歴史ジャンルが「明朝那些事児」、現代をテーマにした文学ジャンルは「活着」となっていた。
その他、若者の間では、オーディオブックが人気のスタイルとなっている。「報告」によると、2023年、Z世代はオーディオブックを1日平均115分聞いていた。都市別で見ると、オーディオブックを好んでいるZ世代が最も多い都市トップ5は上海、成都、広州、重慶、深センとなっていた。(編集KN)
「人民網日本語版」2024年4月24日