中日笹川医学奨学金制度35周年記念活動が2023年7月、北京の人民大会堂で開催された。創設以来、笹川医学奨学金制度は中日友好交流を促進し、中国の医学人材育成をサポートし、両国の医療分野における協力を促進することに尽力し続けてきた。笹川医学奨学金制度の発起人である日本財団の笹川陽平会長は先ごろ、人民網の取材に応じ、この35年間の奨学金制度の発展の過程や、あまり知られていないエピソードなどを紹介してくれた。
1986年に創設された笹川医学奨学金制度は、日本財団が中華人民共和国国家衛生健康委員会(旧中華人民共和国国家衛生・計画出産委員会)、笹川記念保健協力財団、日中医学協会と共同で展開する協力プロジェクトだ。2023年7月の時点で、奨学金制度を活用して、中国の医療関係者約2400人が日本で学習と交流を行ってきた。同制度により、中国の医療衛生の分野において数多くの人材が育成され、中国の医療衛生事業の発展が力強く促進され、中日の民間医療衛生をめぐる協力のモデルケースとなっている。
人民網の取材に応じる日本財団の笹川陽平会長(撮影・許可)。
笹川会長は、奨学金制度を創立することになったきっかけについて、「1986年というと、発展の初期段階にあった中国が、両国間の民間交流を通じて、中国の人々の健康のためになる医療水準を引き上げることができるようサポートすることで、日中友好を促進できればと思った」と振り返った。そして、奨学金制度は、単に費用という面でサポートを提供するだけでなく、幅広い面で意味のある制度にすべきだとし、「奨学金を受けた中国研究者は単に日本に来て、日本語を話すことができるようになればいいというだけでなく、日本の社会制度や生活習慣についても知ってもらい、両国の民間の相互理解を深めている」としたほか、「日本各地の大学225校と医療機関が中国からの留学生を受け入れている」と紹介。これらの留学生は現在帰国し、その所属する機関の技術的な柱や学科のリーダーとして重要な役割を果たしている。この点について笹川会長は、「4人が院士に選ばれ、20人が大学の学長や副学長になり、1250人が大学教授になり、約30人が病院長・副病院長になっている」と誇らしげに語った。
さらに、「当初は日本の方法を『教える』というスタイルだったが、近年は、中国の医療水準が高まるにつれて、奨学金を受ける留学生と共同で研究する時代になっている」とした。交流と協力をさらに強化すべく、日本財団は、中国各地に研究者の同窓会組織「笹川医学奨学金進修生同学会」を設置し、ボランティア診療や勉強会、シンポジウムといった活動を積極的に展開し、地域医療の人材を育成する面でも貢献を果たしている。笹川会長は、「今後も、民間交流を通して、日中友好交流事業を大々的に展開し、日中関係がさらに安定して、良い方向へと発展するよう働きかけていく」と固い決意を語った。(編集KN)
「人民網日本語版」2024年8月2日