加盟国拡大後初のBRICS首脳会議が23日、ロシア・カザンで開催された。世界の動揺と不安定化を放置するのか、それとも平和的発展という正しい道に戻る後押しをするのか。鍵を握る選択を前に、世界はBRICSの見解と行動に注目している。人民日報が伝えた。
上記の問いに対し、習近平国家主席はBRICS第16回首脳会議で「我々は『平和のBRICS』『イノベーションのBRICS』『環境に配慮するBRICS』『公正なBRICS』『人と文化のBRICS』を構築し、BRICSを『グローバル・サウス』の団結と協力を促進する主要なチャンネル、グローバル・ガバナンスの変革を推進する先鋒のパワーにしていく必要がある」と述べ、その答えを示した。
国際情勢が混迷する中、世界は平和と安寧を一層強く求めている。「我々は『平和のBRICS』を構築し、共通の安全保障の維持者たる必要がある」。ウクライナ危機が現在もなお長引いている。「我々は『戦場を外部に拡大させず、戦争行為をエスカレートさせず、各国は焚き付けない』という三原則を堅持し、事態の早期緩和を後押しする必要がある」。ガザ地区の人道状況が悪化し続け、レバノンで戦火が再燃している。「我々は早期の停戦及び殺戮の停止を後押しし、パレスチナ問題の包括的で公正かつ永続的な解決のためにたゆまず努力する必要がある」。中国の主張には行動が伴う。ブラジルと共に「グローバル・サウス」関係国とウクライナ危機「平和の友」グループを立ち上げ、BRICSの他の加盟国と共にパレスチナ・イスラエル問題に関する特別オンライン首脳会議を開催するなど、中国は常に平和のために積極的に奔走し、常に平和の側に立っている。
国際平和のための盾となるには、世界経済の原動力となることも必要だ。質の高い発展をいかにして推進するか。新たな質の生産力の育成を、中国は探求し実践している。カザン首脳会議で、習主席は「『イノベーションのBRICS』を構築し、質の高い発展の先駆者たる必要がある」と指摘した。
これまでを振り返ると、中国は「中国ーBRICS新時代科学技術革新インキュベーションパーク」を設立し、「BRICS持続可能な産業交流・協力メカニズム」を共に立ちあげ、「中国ーBRICS人工知能発展・協力センター」を立ち上げた。将来を展望すると、中国は「BRICS深海資源国際研究センター」「BRICS特別経済区中国協力センター」「BRICS工業能力中国センター」「BRICSデジタル産業生態協力ネットワーク」の設立を予定している。これらの措置は、BRICSが互恵・ウィンウィンの空間を広げ、各々の発展と振興の道においてより良く互いに成果を挙げる後押しとなるだろう。
「環境への配慮はこの時代の基調であり、BRICSはグローバルなグリーン・トランスフォーメーション、低炭素トランスフォーメーションの推進に自ら融け込む必要がある」。習主席は永続的な発展に着眼して、BRICSが「環境に配慮するBRICS」を構築し、持続可能な発展の実践者たることを主張した。中国の貿易の「新御三家」とされる電気自動車、リチウム電池、太陽電池の2023年の輸出額は、合計で1兆元(1元は約21.4円)の大台に初めて乗った。こうした質の高い生産能力は中国経済の質の高い発展を主導すると同時に、世界のグリーン発展への重要な助力ともなった。
BRICSなど「グローバル・サウス」にとっては、工業化と現代化を推進する過程において、グリーン産業、クリーンエネルギー、グリーン鉱産物協力を拡大し、全産業チェーンの「グリーン化」発展を推進することで、「カーブで追い越す」歴史的チャンスをしっかりとつかむことができるとともに、西側がかつて辿った道を避け、持続可能な発展という知恵のある選択を実現することもできる。
グローバル・ガバナンス体制の改革において、BRICSは重任を担っている。「我々は『公正なBRICS』を構築し、グローバル・ガバナンス体制の改革の先導者たる必要がある」。加盟国拡大後のBRICSは、人口で世界の半分近く、貿易で世界の5分の1位を占めており、国際構造の変化の方向を形作る重要な勢力となっている。
習主席は国際金融構造の改革に特に言及し、「BRICSはリーダーシップを発揮し、財政・金融協力を深め、金融インフラのコネクティビティを促進し、高水準の金融の安全性を維持し、新開発銀行(NDB)を拡大・強化し、世界経済の構造の変化が国際金融システムにより良く反映される後押しをする必要がある」と強調した。
政治、経済、人的・文化的分野の「三輪駆動」を通じて、BRICS協力の道はどんどん広がっていく。「我々は『人と文化のBRICS』を構築し、文明共生の提唱者たる必要がある」。国政運営経験の交流から教育・スポーツ・芸術分野の協力まで、BRICSにはできる事が多くある。
習主席の打ち出したBRICSデジタル教育協力イニシアティブは、各国の広範な賛同を得ただけでなく、今年開催のBRICS教育大臣会議でも実行が進められる。
BRICSデジタル教育キャパシティ・ビルディング計画を実施し、今後5年間でBRICSに海外学習センターを10ヶ所設立し、教育管理者や教員及び学生計1000人に研修の機会を提供する。中国の行動はBRICSの人的・文化的交流の深化と着実化を後押ししている。
BRICSが共に歩むことは、共通の追求に基づき、世界の平和と発展の大勢に沿ったものだ。「グレーターBRICS協力」はカザンから始動する。(編集NA)
「人民網日本語版」2024年10月24日