中国の複数の地域でこのところ、雹や強風が頻繁に発生している。先週には北京でアヒルの卵ほどの大きさの雹が降った。そんな中、中国では「雹を瑪瑙に交換」というニュースが注目を集めている。
「雹」を集めて何をするのだろうか?
雹の降る範囲は非常に狭く、突発的であるため、一般的な気象観測では、その急速な変化を捉えることが難しい。また、雹が形成される微物理プロセスが複雑であるため、気象予報ではその降る時間・場所・量を正確に予測することが困難だ。2016年、張慶紅教授率いる雹研究チームはこの課題に取り組み、中国全土で新たに降った雹を収集して研究に役立てている。
研究者が収集した雹のサンプル
プロジェクトチームによると、「雹を瑪瑙に交換」という取り組みでは、外観や大きさ、数などの面で条件を満たす雹を収集し、適切に保存し、関連情報を記録する必要がある。連絡を受けた研究チームは、ポータブル冷凍庫を持って速やかにサンプルの回収に訪れ、記念品として美しい瑪瑙を贈呈することになっている。
雹のサンプル提供者に研究者から贈呈された瑪瑙の記念品
では、なぜ、記念品として瑪瑙が選ばれたのだろうか?
2021年、「雹研究チーム」の公式アカウントにおいて、プロジェクトチームは「雹を瑪瑙に交換」という長期的な取り組みを開始した。研究チームによると、瑪瑙を切断すると、同心円状の模様が現れることがあるが、雹も切断すると、透明と不透明の層が交互に現れる円状の模様がある。その上、瑪瑙の切片も自然界の雹と同様に一つとして同じものはない。
雹の断面
収集された雹は何に使うのだろうか?
研究チームのメンバーで、北京大学物理学院大気・海洋科学研究科の博士課程に在学中の林翔宇さんは、「研究チームは雹収集の科学プロジェクトを通じて雹を研究することで、今後の天気や気候を予測する際の微物理のパラメータ化スキームに活用できる。より早期に雹の発生を予測し、正確に評価することで、住民が緊急避難措置を取るための時間を確保できる」と説明した。
雹の内部に見られる透明と不透明が交互になっている成長層
張教授が率いるチームはこれまでの9年間、中国各地の雹のサンプルを収集し、「雹を瑪瑙に交換」の取り組みは63人の協力者から支援を受けた。今年5月9日、研究チームは、収集した雹を用いた最新の研究成果を発表した。(編集KN)
「人民網日本語版」2025年5月21日