地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が2022年1月1日に正式に発効してから、100日以上が経過した。この世界最大規模の自由貿易協定はどのように実施され、どれほど進展しているか。アジア太平洋地域協力にどのような新しいチャンスをもたらしたか。
RCEPには現在、中国、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの5ヶ国及びASEANの10ヶ国の計15ヶ国が加盟し、人口の数、経済規模、貿易額の3つの面でいずれも世界全体の約30%を占める。RCEPに基づいて、地域内の物品貿易の90%以上が最終的に「関税ゼロ」を実現することになる。同時に、RCEPは原産地ルール、税関プロセス、検査検疫などの面で統一ルールを形成し、域内貿易の円滑化レベルがさらに高まると期待される。
発効から100日を超え、RCEPのボーナスが現れてきた。税関のまとめたデータを見ると、第1四半期(1-3月)には中国のRCEP加盟14ヶ国との間の輸出入総額は、前年同期比6.9%増の2兆元(1元は約19.8円)を超え、同期の中国の対外貿易総額の30.4%を占めた。そのうち韓国、マレーシア、ニュージーランドなどとの輸出入額は増加率が2けたに達した。
RCEPは多くの国が恩恵を受ける協力メカニズムだ。ボアオ・アジアフォーラムの2022年度の報告書となる「アジア経済の見通し及び一体化プロセス」は、「RCEPは初めての中日韓の3大エコノミーを含んだ地域貿易協定であり、中日間、日韓間で設立された初めての自由貿易パートナーシップであり、東アジア地域の経済一体化が画期的な意義を持つ一歩を踏み出したことを示している」としている。
ボアオ・アジアフォーラム諮問委員会メンバーで、前国連事務次長兼アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)事務局長のシャムシャド・アクタール氏は、「RCEPの市場規模が大きく、貿易、投資、流通などの面における自由・円滑化のルールを設け、地域貿易の発展促進に大きな役割を発揮する」と述べた。
地政学における紛争、世紀的な新型コロナウイルス感染症など複数の要因が、産業チェーンとサプライチェーンの安定を脅かしている。フォーラムに参加した専門家は、「RCEPの実施は、地域の産業チェーンとサプライチェーンの再構築および外部からの打撃・挑戦への対処にとってプラスになる」との見方を示した。
同報告書は、「RCEPメンバーにはそれぞれの優位性に基づく極めて大きな産業の相互補完性があり、日本の金融、資本、技術における優位性、中・韓のミドル・ハイエンド製造業、新興デジタル産業、全産業チェーンにおける優位性、東南アジア地域の労働力における優位性、オセアニア地域の資源における優位性により、世界で製造業の各カテゴリーを最もよくそろえ、ハイエンドからローエンドまで全産業チェーンをカバーすることが可能になる」としている。(編集KS)
「人民網日本語版」2022年4月22日