広東省深セン市竜崗区にある甘坑古鎮は、深センの10大古村落の一つ。同村は山を背に川に臨み、立ち並ぶ家屋の間を縫うように路地が走り、ノスタルジックな雰囲気を漂わせ、都市の中に潜む「別天地」のような存在だ。今月14日、ドイツ人やベルギー人、キューバ人、イタリア人、チュニジア人、タンザニア人などの記者からなる取材チームが、350年の歴史を誇るこの客家(ハッカ)の村に足を運び、客家文化をじっくりと体験したほか、ほのぼのとした田園風景を堪能した。
深センの客家語において「坑」は小川や細い溝を指す。甘坑古鎮では、あちらこちらで泉が湧き出ており、小川の水はきれいで甘い。そこから、「甘坑」と呼ばれるようになった。同村はかつて客家人の集落だった場所で、伝統的な帽子「涼帽」や、「甘坑舞麒麟」といった無形文化遺産があり、炮楼院や関帝廟、客家旧村といった歴史的建造物も残っている。自然の山や川に溶け込むように村があり、独特の客家文化を形成している。
「甘坑」はかつて忘れられた存在となっていたものの、深センの客家文化を伝承していくため、もともとの古村落をベースに、「文化+観光+都市化」という戦略スタイルが採用され、今では文化、自然、テクノロジー、観光が四位一体となった「中国文化クリエイティブナンバーワンビレッジ」となっている。350年の歴史を誇る「甘坑古鎮」は今、再び息が吹き込まれて活力を取り戻し、そのノスタルジックな雰囲気の街並みや小川のせせらぎが、普段は都市でせわしく、忙しい生活をおくる疲れた人々の心を癒している。(編集KN)
「人民網日本語版」2023年11月15日