三明市の林業での炭素貯留認証の証明書サンプル。(撮影・欧陽易佳)
中国共産党第20回全国代表大会(第20回党大会)の開催を前にした2022年秋、福建省三明市将楽県常口村の村民は特別な配分を受け取った。同村が2021年に林業での炭素貯留認証で獲得した14万元(1元は約21.4円)を村民に配分し、1人150元を受け取ることになったのだ。
林業での炭素貯留認証とは、林地・林木による炭素排出削減量のクレジットの認証を証明するものであり、林地ごとの炭素固定機能を資産とし、取り引きをする上での「身分証明書」となるものだ。2021年5月18日、同村は「0000001」番の林業炭素貯留認証を取得し、中国の「炭素貯留認証第1号村」になった。この認証により、同村の空気は「財産」に変わり、「豊かな自然が金銀同様の価値を持つ」という新たな道が開かれた。
炭素貯留認証で獲得した資金が分配された常口村の村民。(写真は本人提供)
「豊かな自然が金銀同様の価値を持つ」理念について話すなら、1997年まで遡らなくてはいけない。当時の中国共産党福建省委員会副書記だった習近平氏は、三明市で視察を行った際、「生態環境の保護とは生産力の保護であり、生態環境の改善とは生産力の発展であるとの意識をしっかり打ち立てることが必要だ」という理念を強調した。同年4月11日、習氏は常口村を視察した。習氏は澄んだ水をたたえる金渓河と対岸の青々とした山や林を眺めながら、長い間考えを巡らせていた。それから村の幹部に、「豊かな自然は値段のつけようのない宝物だ。みなさんは山間地の開発を着実にしっかり行い、山や川や畑の開発と保護をしっかりと行う必要がある」と述べた。
また習氏は、「エコ林業は未来の林業であり、私たちは産業としての林業と林業環境の保全に統一的にしっかり取り組み、水土の保護・維持を重要な位置に置かなければならない。そうしなければ、将来は見渡す限り荒れ果てた山が広がり、私たちの両手には何も残らないだろう」と述べた。
常口村の石碑に刻まれた習近平総書記の言葉。(撮影・林文斌)
習総書記からの言葉を、常口村の村民たちは今も胸に刻み、これからも更なる「炭素貯留」の道を模索していこうとしている。(編集KS)
「人民網日本語版」2024年6月5日