このように海外倉庫によって、配送効率は大幅に向上した。ツァイニャオ総裁補佐兼輸出物流事業部ゼネラルマネージャーの熊偉氏によると、スペインの海外倉庫を例にすると、企業が中国から直接出荷した場合、空輸でもスペインまで6日から10日かかるが、海外倉庫に事前に商品を準備し、海外倉庫から配送すれば、注文の80%が24時間以内、95%以上が3日以内に配達を完了でき、なかには当日配達が可能な注文もあるという。
「海外倉庫は、世界の対外貿易産業チェーンとサプライチェーンを円滑かつ安定させる調節器・緩衝器の役割を果たしてきた」とする陳詠新氏によると、海外倉庫は空間と時間を交換するものであり、商品を事前に準備することで生産・配送サイクルを円滑にし、新型コロナのパンデミックによる操業停止や輸送中断などの予期せぬリスクを回避できる。在庫を前倒しすることで商品と対象販売市場の距離を縮め、マーケティングやプロモーションを容易にし、海外倉庫の現物取引の機会を高めるのに役立つ。また返品・交換・修理などのアフターサービスにより業者の運営コストを下げ、顧客満足度を高める。現在、中建材輸出入傘下の海外倉庫は、年間売上高が平均10億元(1元は約18.0円)を超え、対外貿易産業チェーンとサプライチェーンを維持・安定させる中核ハブとなり、中国企業の国際競争力を育成・向上させる重要な手段となっている。
スマート輸送、マシンビジョン、ビッグデータアルゴリズムなど、注文と商品のマッチングを自動的に行い、「人が商品を探す」から「商品が人を探す」への革命的な高度化が実現されている。縦騰集団の第1期スマート倉庫は、昨年まず英国と米国に設置された。計画面積は5万平方メートルに達し、300台投入されたAMR(自律走行搬送ロボット)は、600キロの荷物を軽々と運び、地面のQRコードを認識して走行経路を決定し、最高時速は20キロに達する。
縦騰集団の李聡副総裁は、「従来の倉庫と比べ、スマート倉庫の作業効率は3~4倍高まり、精度は99.99%に達し、人手を50%削減できる。効率的で安全かつ環境に優しい倉庫だ」と語る。
周武秀氏は、「海外倉庫は海外に建設する保管・物流の支点であり、国によって資源賦存量、ビジネス環境、規則や基準が異なるため、現地での企業の投資・運営の不確実性が高まることは確かだ」とし、現在影響が大きいのは、新型コロナウイルスの感染が依然世界中で猛威を振るっていることであり、新型コロナ対策の政策、港湾運営、交通輸送、その他の制御できない要因のいずれもが、海外倉庫の発展に影響を与えている。また、いくつかの中小海外倉庫・越境EC企業は資金調達難を抱えており、企業の海外資産の定義や算出が難しく、クロスボーダー金融サービスの改善・革新が急務となっている。
中建材集団輸出入有限公司の陳詠新社長によると、「越境EC+海外倉庫」モデルの実践者として、同社は国が越境EC取引の全過程の革新、柔軟なサプライチェーンの構築、国内外のマーケティングシステムの連携、海外倉庫のデジタル化などに対する的確な支援政策をさらに多く打ち出し、海外融資・決済の利便性を高めるよう金融機関を促し、海外倉庫企業の長期安定的発展を後押しすることを望んでいるとした。(編集NA)
「人民網日本語版」2022年1月20日